今月、またひとつ歳を重ねる。
癌を発症してから11年目の誕生日になる。
世間的に見れば、もう「治った」と言っていい年月なのかもしれない。だけど私は、この11年間きちんとした検査を受けないまま過ごしてきた。
理由はとても単純だ。
もし再発していたとしても、今度はひとりで戦わなければならないと思っているから。
大阪にいた頃は、周りに友人もいたし、医療従事者の知人にも恵まれていた。苦しい時に頼れる人がいる安心感は、本当に大きかったと思う。
でも今住んでいる地域には、そこまで頼れる相手はいない。もちろん優しい人はいる。でもみんな家庭があり、仕事があり、自分の生活を抱えている。私は誰かの負担になりたくない。
だからもし再発していたとしても、そこから治療を受けて長く生きようとするには、少し勇気がいる。
時々、寂しくなることもある。
不安がゼロなわけでもない。
それでも、これも自分で選んだ道だと思っている。
来年の誕生日を迎えられるかなんて、本当は誰にも分からない。健康な人だって同じだ。
だけど不思議なことに、今の私は「やり残したことがある」という感覚があまりない。
もちろん小さな後悔はある。もっとこうしておけばよかったと思う瞬間もある。けれど、自分なりに必死に生きてきたという実感だけはちゃんと残っている。
今年も誕生日を迎えられる。
それだけで、十分なのかもしれない。
